anemone

ぼんやりしたり、うっかりしたり。

マダムは語る

91歳の母と「パリタクシー」を観に梅田まで。母はフランス好き、フランス語学習が趣味なので、お供を命じられるのはフランス映画が主になる。メグレ警部モノは断ったがコチラは私も興味があったので行くことにする。

人生崖っぷちのタクシー運転手が、92歳になり施設に入所することになったマダムを乗せて、マダム思い出のパリの街を巡っていくお話。大筋は多分そうなるんじゃないかなーという想像通りなのだけれど、想像の遥か上をいくのがポツポツと語られるマダムの人生。見るのが辛くなってしまう展開なのだけれど、それを語る現在のマダムのお顔が穏やかで、そして事前に思った「ま、こういう映画って最後こうなってああなってハッピーエンドよね?」という根拠の薄い思い込みにすがって耐える。そして要所で流れる歌が、優しく明るく映画を彩ってくれる。(こんなに波乱に満ちた人生を送っても、しっかりした一軒家を終の住処にできるんだなぁ、なんてセコいことをチラと思ったり)

マダムが若い頃と今では、随分と社会における女性の在り方が変化した。あの時代はそれが普通のことだったのよ、と遠い目をするマダム。隣で見ているほぼ同い年の我が家のマダムは何思う。日本では女性たちがムーブメントを起こして何かが大きく変わっていったって事は聞かないが。そして歳を取ると昔暮らしていた場所を見に出かけたくなるようだ。以前の東京旅行では2年ほど転勤で住んでいた辺りを江古田まで行ってみてきた。次は子どもの頃家族で宿泊した山の上ホテルにもう一度泊まりたいらしい。どうでした?「良かった。もう一回見たくなった。」おぉ、それは良かった。どんなとこが?「おばあさんの喋るフランス語がゆっくりでよく聞き取れた!」ま、行った甲斐があって良かった良かった。

 

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