anemone

ぼんやりしたり、うっかりしたり。

ローソン1号店

昔々大学1回生になりたての頃、新しい仲間、新しい勉強、新しい授業、新しい先輩たちに囲まれて毎日が濃い時間に包まれていた。美術科は一学年45人、それぞれに回生部屋があり、ロッカーに荷物を置くと授業の無い時間はそこでダラダラとみんなでお喋りなどして過ごした。また、先輩たちの回生部屋に顔を出したり、教授たちの研究室にお邪魔したりと、今思えば大学に入りたてとはいえ密な関係を築いていたなぁと思う。こじんまりした課程ならでは。なので友達作りのために何かのサークルに参加する、なんて人もほとんどおらず、高校の延長のような感じで過ごしていた。まぁ全員が美術部のようなものと考えたら良いか。

回生室でコンパ的なことをする事もよくあった。上の学年の人らと一緒の時、コンパの食糧調達だ!ということで車を出すことになりヒマだった私も乗せてもらった。郊外の道を少し走り、レンガの外壁が印象的な平たい建物までやってきた。店名は筆記体の英語のみ。そしてparty foodsと書いてあったような気がする。その佇まいのアメリカンなこと!こんなお店屋さん見たことない!いつもは公設市場やスーパーマーケットやらで食料品を買う生活を送ってきた身には、ここはまるで外国だ。中に入るともっと外国があった。ここは高いけど他ではないものがあるからなーと先輩たちは笑った。店内奥には、ハムやらソーセージ、ベーコンなどの量り売りコーナーがあった。大きな冷蔵ケースに並ぶスライスされるのを待つ太いソーセージたち。赤や緑の粒が断面を彩っている。チーズもいろんな種類が売られていたように思う。この多種多様なハムソーセージやチーズは、痛む前に全部買われていくのだろうかと心配になった。

f:id:cocoanuts:20220824221901j:image

店の名前はローソンといった。ローソンのHPにあった画像をお借りする。

f:id:cocoanuts:20220824222020j:image

そうそう、この冷蔵ケースのなかに外国がならんでいた。なるほど、ホームパーティをしていておつまみやお酒が足りなくなった時に、ここに来て間に合うように遅くまで店が開いているということか。店が成り立つほど世間ではパーティというものを行なっておるのだろうか。それとも局地的に海外からの住民が多いのだろうか。とにかくこのアメリカーンな店で何が売られているのか隅から隅まで検分したい!と願ったが、先輩たちは欲しいものを調達したらさっさと車に戻って行ってしまったので、叶わなかった。

どこかでもう一度あの店舗を復刻して欲しいなぁ。あの日のローソンは豊中のロードサイドで豊かな古き良きアメリカンライフを体現していた。そうそうそうそう、後に豊中ロマンチック街道と呼ばれるようになった地域にあった、高い天井のバーカウンターを持つチャーリーブラウンという郊外型レストランに、先輩に車で連れて行ってもらった時もきっと同じようにポカンと口を開けていたに違いない。大きな窓、広く明るい店内に流れていたビリー・ジョエル。外食をほとんどしなかった家庭で育ったため、こういうお店で気負わず楽しめる人たちの仲間になりたいものだと強く思った。70年代後半のお話。バブル景気はまだ先の事。

こちらのblog、チャーリーブラウンのエントリーに画像を載せてくれてはった。懐かしー!そうそうそう、私も不思議に思っていた。車でしか行けない場所のバーレストランって、今では考えられないですよねー。