anemone

ぼんやりしたり、うっかりしたり。

アステロイド・シティで途方にくれる

ウェス・アンダーソン監督は「犬ヶ島」を映画館で観て初めて知り好きになり「ファンタスティック Mr.FOX」「グランド・ブダペスト・ホテル」はDVDを購入した。新作公開ということで勇んで行ったよ、アステロイド・シティ。そしたら見事に迷子になった。

映画と舞台が入れ子構造になっていて、まずそこから感覚がギクシャクする。映画鑑賞のプロならこういったあたりがグッとくるのかもしれないが、ライト鑑賞者であります私には困惑する要因に。元々ウェス・アンダーソン作品って現実から遊離した隅々まで作り込んだ映画世界、芸術的に調和した素晴らしいキッチュワールドを堪能するのが快感だったのが、その作り込んだ世界が突然パカっと途切れてまた別のテイストで作り込まれた舞台世界に突入し、そことまた半分混ざり合いながら再び元の映画世界に帰っていき。あーっ!もぅ、スッと行って、スッと!私に映画で出来た豪華でキッチュな夢を見続けさせてよー!

いや、ホンマにオシャレな映画やと思うんですよ。俳優陣も豪華やし。みんなウェス・アンダーソン監督作品に出たいんやろなー。ここからネタバレ。いや、「アステロイド・シティ」に対するネタバレではなしに、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」のネタバレですよ。

ステロイド・シティにも宇宙人が登場する。宇宙人の動き、ギミックの動きが最高!細長い宇宙人が細長い器具を使ってゆるゆると降りてくるんだけれど、最後に最下部から細長い小さな棒状支持具が3本現れてパカっと開き地面を支えるところがワタクシ一番グッときた。で、この宇宙人、手も足も細く長い3本爪が生えている。そこが凄く造形的に素敵!あれ、3本の鉤爪って、ロッキー?

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ロッキーのイメージは私にはまんまオディロン・ルドンのこの「笑う蜘蛛」のイメージなんだけど、ここにカメラを向けられるとつい3本の爪で隕石を持ち上げてニコっとポーズを取ってしまうアステロイド・シティの宇宙人のイメージがオーバーラップして、ニマニマしながら家に帰りましたとさ。