anemone

ぼんやりしたり、うっかりしたり。

ハヤブサ競作

はやぶさ 遙かなる帰還」鑑賞。先行作品竹内結子の出てた「はやぶさHYABUSA」はすでに鑑賞済み。「はやぶさHAYABUSA」がどうにもしっくり来なかったので、今回期待していたのだが、んー、どうかなー、まその「はやぶさHAYABUSA」よりは好きかな?程度でございました。

はやぶさHAYABUSA」は、まずあの竹内結子の演じた「自分が周りにどう見えているのかは全く気にしない研究者ちょっとドジ」登場人物がどうにもこうにも受け入れられなくて、ひどいよなー、この若い研究員の紋切り型戯画化は腹立つなー、と思いながら観ていた。脚本は、その竹内さん演じる若い職員が、子どもに説明したり絵本を書いたりと手を替え品を替え一所懸命「HAYABUSAミッション」の説明をしてくれて、それがハヤブサのことをよく知らない人には必要なんだろうけれど、どうしても話の流れがぶちぶち切れてしまうような印象があった。その点「はやぶさ 遙かなる帰還」のほうは、唐突な説明は新聞記者の記事制作を利用して語られるくらいなので、そんなに異物感はないがその分ハヤブサのことを知らない人には、どんなに革新的なコトが行われていてどんな予定で飛んでいてなにがそんなにタイヘンなことなのかさっぱり理解できないだろう。

それにしても、ハヤブサの映画についてあれこれ書くのは気が楽だな、ネタバレとか心配しなくてもいいものな。

はやぶさ 遙かなる帰還」は「男達の熱意」をメインに見せる映画だったわけで、そうなると今度はその「男達のぶつかり合い」がうっとおしい。ハヤブサからの通信が途絶してしまう「宇宙の迷子」状態から再びハヤブサからの電波をキャッチするくだり、ずっとハヤブサからの通信を長期間探し続ける「男達のあきらめない心」がそうした「奇跡」を生み出したんだ感動!という脚本だ。あるいはイオンエンジンの不調をそれぞれ別々の部分を組み合わせることで乗り切るあたりも、「男達の激論の末チャレンジ決定!」みたいな感動に話の筋を持って行っていたが。だからソコが違うのよねー。ハヤブサで私が感動したのは、打ち上げる前から色々なことを想定してもしもの時に備えた工夫を方々に仕込んでいたこと。youtubeでの有名な「こんなこともあろうかと動画」にまとめられていたような事柄に、細やかな配慮というか想像力というかからくりを考えるチカラが感じられて、ここらへんが「日本人が計画して作る宇宙探査機」だなぁ!と感動したのだ。最初のそうした仕込みがあってこその危機回避だったわけで、なにもそうした仕込みが無かったなら、研究者の意欲や熱意だけあってもどうにもならなかったろう。そこらへんがざっくり無いのが(あっても「熱意・諦めない気持ち」を表現するために使われる程度)、このハヤブサミッションを描く上で勿体ないなぁと思ってしまう点だ。研究者の熱意を表現するなら、そうした仕込み段階における創意工夫をきちっと描いて欲しかったなぁ。

さて最後に公開される藤原竜也主演の「おかえり、ハヤブサ」は、鑑賞予定無し。いつも行く整骨院は浜村淳氏がパーソナリティをしているAMラジオが流れており、丁度私がいく時間で映画の紹介をする。浜村淳氏の「映画紹介」は殆ど筋全部と言っていいほどくわしーくくわしーく科白入りで順を追って解説してくれちゃったりするのが芸風、背中を揉まれながら聞いていたが、んー、浜村氏の話芸を持ってしても面白そうとは思えなかった。んで、殆どの映画を褒めて褒めて褒めまくる浜村氏が解説の途中で「この設定は、無かった方がいいんと違うかなぁと思いました」とかって苦言を呈するわけですよ。こらーアカンでしょー。

夜空に輝きながら散っていくハヤブサの映像、何回観ても胸に迫る。幾多の困難を工夫しながら乗り越えて任務を遂行するごくごく小さい探査機の話は、その最後、自己犠牲という形で完結する。あぁこれ以上日本人好みのストーリーがございましょうか。好きだからこそ、自分だけのハヤブサストーリーを追い求めてしまい、点が辛くなるのかも知れないな。