anemone

ぼんやりしたり、うっかりしたり。

サンダーバード55/GOGO

サンダーバード55/GOGOを観にエキスポシティに行く。コロナ禍でも大した賑わい。成人式の晴れ着姿も沢山見かける。吹田市はどこで成人式してるんだろう。ガンバの立派なスタジアムかな。あそこまで晴れ着で慣れない草履履いていくのはタイヘンだぞー。

 

 

サンダーバードシリーズは、思い入れが深い。

自分が小さい頃から何度も見てきた。1時間枠の時も30分枠の時もあったな。子どもができた時にはビデオレンタルして率先して見せた。おもちゃや解説本も購入、おかげさまで兄弟共に立派なサンダーバードフリーク、ファイアーフラッシュ号緊急着陸場面をセリフ完コピ音楽付で再現する幼稚園児になりましたな。

日本の戦隊モノは一年周期で更新されてしまうので熱心なファンにはなれないけれど、サンダーバード沼は深い。大人になり次男はBlu-rayの全エピソード集購入。しかし次男が言うには画質が良くなると吊っている糸なども見えてしまい、イマイチ没入できない、ブラウン管テレビで見ていたことが、物語に熱中できた所以かも知れぬ、との事。なるほどねー。

今回は音源のみの発見から当時のままの撮影方法で作り上げたそうで、爆発時の火薬の量が多すぎなのも継承。バカーンドカーンと派手に爆破していく。音源ありきの話なので、内容を練ることができないため、脚本が弱いのが辛い。

もともとのシリーズ1時間枠の内容からしたら、三分の一位のナカミが3遍。まーでもよう当時の撮影方法で作れたもんやなー。前あったCGでの劇場新作はコレジャナイ感を強く思ったが、今回は全く違和感ナシ!過去見逃していたエピソードと言われても納得してしまうくらいの記憶との馴染みの良さ。で、そこで思ったのは次男の言葉。映画館ででかい画面でサンダーバードアゴーを聞くのはメチャクチャ気持ちいいのだけれど、1番楽しめるのは茶の間でブラウン管テレビで見ることだろうな。小さい画面の中でぎくぎく動くトレーシー一家、しょわーんと飛んでいく小さい1号、見ているこちら側の手にはもっと小さなおもちゃの1号。手本となるべき映像世界が、ミニチュアを凄いテクニックで動かして迫真のシーンを作っているのが受け手にわかるが故、画面を思い出して遊ぶ時、物語の登場人物に自分を投影すると同時にブレイマンや1号や2号やゴングなどを動かしている凄腕スタッフ達にも自らを投影させていたんだろう。だから沼は底なしに深かったのだろう。沼に沈み続ける少年たちのために、国際救助隊、出動だ!

ジャマーバンド 好きな10曲選

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選

 

1982年に和歌山市で結成、以来圧倒的なステージパフォーマンスでみんな大好き、ジャマーバンドの膨大なオリジナル群から私の好きな10曲を選んでみる。

バンドのキャッチコピーは「人生に愛と笑いと音楽を」

 

天国のラジオ

小米、こよね、ひな子が呼んでる
あの夜から始まる、天国のラジオ

 

ボーカリストが年を重ねると歌い方に変化が現れるのはよくあること。妙にタメたり発音をいじったり。枝雀も、私は喋り方のアクが強くなかった小米時代の落語の方が好きだった。かつて落語といえば上方落語で、お高くとまっているけれど面白くない江戸の落語より涙が出るくらい笑わせてくれる上方落語がテレビでもラジオでも席巻していた、私が中学生だった頃はね。

とにかくオシャレなメロディとコーラスワーク。で、歌われる歌詞が小米と吾妻ひな子。オシャレの対極。吾妻ひな子師匠知ってます?枝雀ですら知らない人がおおいだろうに吾妻ひな子って。座布団にペタリと座って三味線抱えて音曲漫談してたお姐さんですよ?

音のメリハリの気持ち良さ、シンプルな歌詞はノスタルジーに傾きすぎることなく心に響いてくる。何かがきっかけになって、無鉄砲で前のめりで希望と不安で胸をいっぱいにしていた「あの頃」を思い出す歌は沢山あるけれど、そのきっかけが桂枝雀が死んだというニュースであることがジャマーらしい。悩める小米をひな子が「こっちで喋りまひょ」って呼んだんやな。まだまだ「あの頃」の無鉄砲さや希望や不安をそのまま心の中に抱えたままのおじさま達だからこそ、「ショックやったけど、あんまり悲しなかったな、なんでやろ」と歌えるんだろう。


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万博

たくさんの田舎者たちは 甘栗とゆで卵を食べながら旅に出る
なーんなーん南海電車
OH!エキスポまた来る!大阪燃える!握手をしよう!

 

最近のライブの締めの一曲といったらコレ。真空パックされた高度経済成長へと続くあの時代の熱気をそのままライブの勢いに乗せ、ボルテージ爆上がりのナンバー。大阪万博の地元JACKLIONでやったら盛り上がり最高潮ですわー。


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ライハチ

僕はライトで8番さ  いつかはショートを守りたい
秋の風が吹いている    遠くでエースが投げている

 

今では放課後にいろんな学年の子が寄って野球して遊ぶことなどできないんだろう。遠くの外野でぽつねんとボールがくるのを待っている少年。内野のあたりではワァワァ試合が進んでいる。高い空、夕暮れが近い。優しくもの悲しいメロディがきゅっと胸を締め付ける一曲。

 

 

笑っていれたら

笑っていれたらええな   怒っているよりええな
いつもいつでも笑っていれたら

 

とても平易な言葉で語られる人生の至言。ミディアムテンポのキーボードイントロにヒロジさんのハスキーな声が乗って、この歌を単なる人生の応援歌ではなく、どこか内省的なものにしていく。静かな1番が終わってコーラスが加わる2番になると、曲の印象がガラッと変わる。keep on smiling! 食い気味に入る重層的なコーラスが、曲をゴスペルへと劇的に変化させる。苦しむものが救いを求める姿を全力で肯定する力強いエナジー!いつも、いつでも笑っていれたら!


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ウッドストック

谷町線の窓に映る 疲れた顔が
でも大丈夫なのさ!
頭の中に ジミ・ヘンドリックス ジャニス・ジョプリン
次々立ちあがる奴らがいるから

 

圧倒的な歌唱力の持ち主、あにきさんが歌い上げるウッドストック。あの夢の続きをまだ僕らの頭の中で見ている、そう歌うキャリア39年のバンドマン達。ラスト、囁くように歌う「ピースサインが波のようさ」がグッとくる。


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国道42号線

国道42号線  南へ走る
紀勢本線は左、右手は海
和歌山 和歌山   地道を南へね

 

和歌山生まれのバンドなので、和歌山愛に溢れた楽曲も多数。中華そば、知らんかった、海に行こう、丸正百貨店、などなど。最近ではこの曲がお気に入り。海沿いの道を軽快に自転車で走る、その爽快感が伝わってくる。そういえば、ペダルを漕ぐのにぴったりのリズムだな。

 

 

デイケアサービスセンターのワゴン

毎日忘れていく 大切なことから
毎日思い出せずに悔しがるんだ

 

ゆっくりと死んでいく社会のなか、諦めきれない心のうちを、動きが止まったような風景に同化させていく歌詞。決め決めのリズムで畳み掛けていくサビは、メロディーがキャッチーなため、より一層ヒリヒリと心を抉る。


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深呼吸

吐き出してmoonligt   吸い込んだsunshine
新しい酸素が欲しい   新しい勇気が欲しい

 

ジャマーの中ではあまり聞かれないナンバーかな、でも私は大好き。あからさまな応援歌ではないけれど、ぐっと背中を押してくれるような、そんな歌。頑張るゾッと声高に言ってるわけではないけれど、こうしてゆっくり深呼吸していたらまだ見ぬ明日にも立ち向かっていけそうな気がする。深呼吸にぴったりなゆったりしたナンバー、ドラムの柳生さんのコーラスがいい感じ。

 

 

言うた言わん

あのね僕はそんなこと言うてない!   全然言うてない
ゆーてないでぇー    ゆーてないでぇー

 

ジャマーバンドは基本小野田さんがメインボーカル、そして曲によってはヒロジさんがボーカルを取る、そしてごくごく稀にあにきさんという形だ。ボーカル二人、と言うことで、ツインボーカルでもって歌われる曲もある。ライブで必ず歌われる「素敵なリズム&ブルース」もそう。で、この曲はツインボーカル曲というよりは、掛け合い漫才が歌になったようなご陽気なナンバー。いやー、無敵やな、この人ら。


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All Right

いろいろいろいろ言うさ   いろいろいろいろ聞くさ
いろんな人がいるさ    All Right!

 

人生経験豊富なおじさま達だからこそのリアリティを持った歌詞が、ドラマチックな展開のアレンジとも相まって、圧倒的な多幸感でもって聞くものを包み込んでくれるスーパーな一曲。達観?破れかぶれ?いやいや、まぁ人生いろいろあるわな、いろんな人がおって、色々しんどいけど、僕はOK!君もOK!みんなOK!OK!OK!OK!

 


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コロナ禍でしばらく遠出のライブは自粛してたけれど、ようやくぼちぼち動き出そうか、というところ。11月13日京都モダンタイムス、東京は12月11日高円寺のJirokichiにてライブです。楽しいですよ!ぜひどうぞ!

フィールド・オブ・ドリームス

MLBの公式戦でフィールド・オブ・ドリームスを再現、その数日後にテレビで放送された同映画を再見した。


何度見ても、心に響く。
何人かのやり遂げられなかった夢やずっと澱のように溜まる後悔が出てくる。そしてそれを叶えてくれる夢の野球場。
バッターとして試合に出たかったルーキー、父と和解できなかった息子、自らの作品による影響力に疲れた作家。 そしてなにより、裁判では無罪になったのに永久追放という形で選手達から活躍の場を奪ってしまった「アメリカ野球界」。


ムーンライトグラハムの場面が好きだ。野球では夢叶わなかったが、第二のキャリアで納得のいく人生を歩んだ彼。ひとときの夢を叶えて、また元の姿に戻っていく。野球仲間達に讃えられながら。老年の彼との遭遇場面、若い彼の登場シーン、決然として老年に戻り為すべきことをしトウモロコシ畑へ向かう。上手く書かれた脚本だと思う。バート・ランカスターが素晴らしい演技。
キャッチボールによって心を通わせた息子、作家ももう一度書くことを決意しトウモロコシ畑へ入っていく。そしてシューレスジョーから夢の舞台を奪ってしまったアメリカ野球界は、とうとうホンモノの公式戦をトウモロコシ畑で行なった。実際にトウモロコシ畑から入場する両軍をみて、胸が熱くなった。


アメリカでの野球人気が落ちているための対抗策としてフィールド・オブ・ドリームス試合が企画されたとのこと。ならば今、不世出のスターが生まれつつあるのだから、デジタル処理で上手く組み合わせて短いフィルムにすることはできないかと夢想する。
夕暮れのなか緑の風が吹くフィールドに佇む大谷翔平選手。するとトウモロコシ畑の向こうから、人懐こい笑顔で「彼」がやってくる。よぅ、ベビーフェイス!あっちでも君の噂で持ちきりだぜ!なぁんて喋りながら。

京都の1日

朝早めに家を出て、京都まで遊びに行く。新大阪まで出て、新快速で山科まで、そこから地下鉄。

まずは岡崎の近代美術館でやっている「バウハウスへの応答」展。本日は無料鑑賞日。う〜ん、まぁその無料だったからいいけど通常料金払ってたらちょっと不機嫌になってたかも。テキストやら昔の雑誌やら誰かのアルバム見せられてもなー。もう少し実物、バウハウスでの実習で制作した構造物やら平面作品やらを観たかったな。実物をたくさん目にしてからこそ、インドや日本でその種が多方面に向かって芽を吹くことが実感できるんじゃないかと。

課題制作で紙を使ったものがあったが、懐かしいなー。短い中学美術教師時代、三年生にこの飛び出す絵本と同じ要領で、切って折って立体デザインに挑戦してもらった。まずは二本切り込みを入れ、縦にずらせて折り目を入れてみる。そこから、切り込みの数を増やして折り目の位置をずらせてみる。切り込みの帯にまた切り込み入れて入れ子状にしてみる等々練習し、それからプランを練って本番へ。なかなか素晴らしいものが高打率で完成したと自負している。どうでしょう、中学三年生の最初のトライでこれは素晴らしくないですか?

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バウハウスそのものについてのか、それとも日本やインドで展開されたバウハウス精神の影響についてのものなのか、映像が上映されるということでしばらく待っていたが不調で見る事叶わず。ミュージアムショップを冷やかしていると長谷川潔の銅版画のレプリカを発見、購入してしまう。薄いけれどでっかい荷物でちょっと持ちにくし。いつかは手にいれたいと思っていたのでほくほくしつつ美術館を後にする。

 

岡崎からバスに乗って府庁前へ。カレーの話題店カリルで昼食を取ろうという魂胆。美味しいですよと次男が推薦してくれた店に行ってみると、おぉ、8人ほどの列が。待つよ待つ待つ。頑張る。だがしかし直射日光が暑い!今日も35度超えかしら。じりじりと炙られて汗がしたたる。日差しが堪らないので、先ほど購入した長谷川潔を葉っぱの傘よろしく頭に被ってなんとかしのぐ。まだかなーまだかなー、カレーなんだから回転早いかと思っていたが、なかなか順番来ない。後ろには留学生も並んでおり、皆で我慢大会のよう。ようやく次に中に入って待てる順番になった頃、後ろの留学生チーム離脱。え?今まで並んだのに!もうすぐってとこで諦めるの?トータルで待てる時間を決めておいて、それを超したら潔く諦める、という方式か。それも一つの考え方ではあるけれど、でもこのおばちゃん早い事食べるからすぐ順番来るよ?

ほどなく着席、ポークカレーを食す。お肉は柔らかく煮込まれ、トマトの酸味を感じる複雑だけどえぐみのない美味しいカレーでございました。ご飯固め、ちょっと多いかと思ったけれどなんのなんの、すっすと食べてご馳走さま。お嬢さんたち、ちまちま食べてんじゃねーよ、外でいっぱい待ってんだよと心の中でチコちゃんになって叫びながらお勘定。

 

またしてもバスで四条河原町まで。ここらの風情は変わらないなぁ。高島屋でお手洗いを借りて、ついでにくるっと冷やかす。やはり天井の高さと通路の幅が同じだと、昭和の頃からの印象がそのままだなぁ。足がそろそろ痛くなってきたので、河原町の交差点の方に出て、永楽屋にてかき氷。ちょうど、昼食とおやつの合間の時間で並ばずに座れてラッキー。苺みるく氷。ゆるいジャムのようなシロップが美味しい。ミルクは練乳ではない、もっとお上品な甘さ。氷の下に砕いた寒天が隠してあり、食感に変化が出るかと思ったが寒天はタピオカや白玉ほどには主張しない奥ゆかしさでありました。

 

お腹もいっぱいになり、長谷川潔はかさばるし、阪急とモノレールを乗り継いでおとなしく早めに帰る。

 

 

 

3分の1を2つ

三部作として刊行されているSFを2冊読む。

 

われらはレギオン1 AI探査機集合体 (ハヤカワ文庫SF)

われらはレギオン1 AI探査機集合体 (ハヤカワ文庫SF)

 

この本を読んでいる頃、スピルバーグの「レディプレイヤー1」を観た。いろんなキャラクターがアバターとして出てくるのだが、ちょっとちょっとスピルバーグさん、こっちのレギオンのシリーズを映画化した方が良かったのにー、と思ったな。
デジタルデータとなったボブは増殖し、それぞれが勝手に気に入っているキャラクターの姿形を流用し、自分に心地よいように身体や執務室を作り上げる。レディプレイヤー1の後だと、ちょっとインパクトは減ってしまうかなー。

ボブはSFオタクという設定で、ま、そんなにオタクではなかった私にも理解ができるSFネタをちりばめながら、軽い語り口で宇宙の冒険譚は綴られる。とんでもない状況を四苦八苦しながら打開していき、自己の能力を飛躍的に拡張しながら前進していく前半部はとっても楽しめた。どんどん増殖していき、活動の場が広がってからは、なんかこうワクワクが薄まってしまったような。までも、読みながら映像が頭に広がる面白い本だった。3Dプリンターが大活躍で、ロボットがロボットを生産する工場をいく先々で建てていくわけだが、そこでJ・P・ホーガンの「造物主の掟」みたいなことがおこらないかなー。後2冊あるのか。あ、もう2冊目出てるのかー。

 

 

 

「我らはレギオン」もそうだが、この「7人のイヴ」もエクソダスもの。レギオンに比べるとタイムリミットはかなり迫っているし、時代も現在からそう遠くない未来なので、夢のような新しいテクノロジーもない。なんとか限られた人数でも生き延びさせるために、全地球的に協力してスペースコロニーを作り上げなければならないと奔走する科学者たちの話。主にコロニーの核となる宇宙ステーションでの話。
今ひとつ乗り切れなかった点。後数年ののち人類は滅びるとわかっていても、文明社会は維持できるのだろうか。仕事なんかせんとノンビリするわーってならないのかな。たとえば、人類最後の日々、あなたは何をしますか?って質問に、いつものテレビ見てアイスでも食べて笑ってますわー、と答えたとして、スーパーマーケットの人も、テレビ局の人も電力会社の人も、アイス工場の人も、家族や大事な人と好きなことしてたいだろう。そんな時に仕事場にいて仕事してくれるのだろうか。水道局の人は仕事してくれるのかな?し尿処理施設の人は?病院で当直するお医者さんはいるのかな?てなことが気になって仕方ない。
ようやく移住者候補がきまり、スペースコロニーの受け入れ体勢が整ってきたところで第1部は終了。あんまり手に汗握るような展開はなし、話にリアリティを与えるためか、技術的科学的な話を散りばめてあるため、どうにも頭に映像がうかばない。2冊目どうしたものかなー。こちらも極小ロボットが活躍しそうな気配、極小ロボットが意外な展開を引き起こしてくれたらいいなぁ。

KUBOとアタリ


ストップモーションアニメを二本見た。どちらも外国産の「日本」

KUBO


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2017年11月23日エキスポシティ109にて観賞。
KUBOってそら苗字!とおそらく殆どの日本人は突っ込んだんじゃなかろうか。製作者サイドにも指摘はあったはず、でもそのまま主人公の名前にしたのね。大したモンダイじゃないと思ったんだろうなぁ、大したモンダイなのになぁ。キラキラネームというか、難読名前が流行っていても、悪魔ちゃんとかラファエルくんとかつけちゃう件はあるかもだけど、名前に苗字はつけないわねー。佐藤鈴木くんとか?マイヤー・マイヤーってのがいてたなそういえば。

鮮やかな画面、視点がダイナミックに移動して、奥行きのある世界を生み出している。雪の中のニホンザルの造形の素晴らしさ。闇夜にするーっと現れる二人の刺客のゾッとする佇まい。心が壊れていくお母さんをそばで見ている切なさ。画面に見とれているうちに、ストーリーはわりとこじんまりと収束していく。見知らぬバディが心を通わせ家族になっていく話かと思っていたら、親子は姿が変わっていてもわかるのよ的なことに。最後は子どもが見て安心できるようなエンディングに。
するすると動く登場人物を見ていて、考えてはいけないだろう思いがついでてしまう。人形アニメでなくていいんじゃない?CGで良くない?

 

 

犬ヶ島


『犬ヶ島』日本オリジナル予告編

2018年5月27日エキスポシティ109にて観賞
ウェス・アンダーソン監督作品は初めて。いやこれ大好き。
ストップモーションアニメであることの必然を感じる、画面の手触りというか、ちょっと表面が凸凹してるような人形がそこにいて、もそもそ動いてるのがわかる映像が好き!
なんだろう、押し絵?羽子板にあるような立体だけどどこか平面を感じさせる空間表現も好き!
昭和30年代を思わせるレトロな小道具や大道具も素敵、それと近未来をブレンドする塩梅のセンスも大好き!
すこし白っちゃけたような色彩も好き、犬たちがプシッとくしゃみする設定は堪りませんな。わかってらっしゃる監督ー!
なんだかチェコのアニメに感じるような間合いだったり動きだったりだなと思っていたら、ヨーロッパのスタジオとの製作だった模様。

吹き替え版でみたため犬たちもみな日本語喋っているので、アタリ少年と犬たちのコミュニケーションできてるんだかできてないんだかって微妙な感じが伝わってこなかったのが残念。
そうそう、アタリってのは日本人は名前につけないってアメリカで批判されたとnetの記事にあったが、こっちの名前はそんなに違和感なかったな。亜久里もいるし、アトムだっているぞ!

リザとゴジラと恋する若者たち

この夏3本映画を観た。その感想を書いておく。

「リザとキツネと恋する死者たち」http://www.liza-koi.com/
シン・ゴジラhttp://www.shin-godzilla.jp/sp/index.html
君の名は。http://www.kiminona.com/index.html

 

「リザとキツネと恋する死者たち」
ハンガリー映画ハンガリーでは大ヒットしたらしい。ぺかっと笑うトミー谷のビジュアル見て絶対みたい!と思い、ヨーロッパ映画を上映するイベントで見るべく京都まで出かけた。


映画『リザとキツネと恋する死者たち』予告編

全編流れるレトロな歌謡曲が頭にこびりつく。ロカビリー風味の「ダンスダンス ⭐️ ハバグッタイム」の中毒性はどうだ。


Erik Sumo & The Fox-Fairies - Dance Dance Have A Good Time ダンスダンス☆ハバグッタイム

死の世界の住人「トミー谷」の歌う日本語歌謡曲群が、この映画のためにハンガリー人が書き下ろしたオリジナル曲というのが素晴らしい。ボーカルもハンガリー人だ。(トミー谷役のデヴィッド・サクライは口パクとのこと)楽曲はグループサウンズ風だったり乙女フォークソング風だったり勇気鼓舞系歌謡曲風だったりでバラエティに富んでいる。それら全てが「微妙なさじ加減」で、日本の昭和歌謡曲のエッセンスをキッチュなものとして提示する。監督は日本オタクとでも言おうか、歌謡曲・JPOPはかなりマニアックに深いところまで聞き込んでいることをインタビューで知った。
このトミー谷の歌う曲たちを(や、口パクだけど)何度も聞きたいのでBlu-ray買ってしまったわ。

ストーリーは単純、70年代ブタペスト、リザにだけ見えるユーレイのトミー谷が、次から次へとリザにちょっかいを出す男性を殺していく。窮地に立たされるリザ。そしてトミー谷の真の目的は如何に。

リザに相対しているときのトミー谷がキュートだ。声は発しないが微笑んだり頷いたり時にはしょんぼりしたりでリザと心を通わせる。しかし所詮実体のない存在の悲しさ、好きな人を抱きしめられない苦しさや友達以上には思ってもらえないやるせなさを見ているこっちが勝手に慮ってキュンとする。それはラストのドライブのシーンでもシミジミそう思ってしまって、やーん、トミー、もういいやん、次行こうぜ、次!なんて思ってしまう。それはヴァンパイヤ問題とでもいいますか、愛する人は老けていくが自分は変わらないという結末も見えて、それでいいのか、トミー谷。

までも、そんなことはさておいて、妙な笑いの小ネタもモリモリ挟んで、話はとんとんと進んでいく。初めはただ単に珍奇で能天気だったトミー谷のロカビリー歌謡も、陰惨なシーンに被さって歌って踊られると、同じ曲も禍々しい様相を帯び、つまりは死神の狂気の体現となる。

もうね、いちいち可愛い。へんてこりんな人たちばかりがわんさか出てきて、ヘンテコな具合に幸せを求めて一所懸命に突き進む。大好き。

 

シン・ゴジラ

これはやはりIMAXでしょう!とエキスポまで張り切って出かけて観た。
面白かった!もう一度観たいけれど、今度は一時停止しながらがいいな。じっくり行きつ戻りつしながら。

全体的にとっても気に入ったけれど、だからこそちょっとモンク言いたい部分もあり。
アメリカ大統領特使のクオーターに石原さとみ嬢というキャスティングには、違和感あった。もうどっからどう見ても東洋人だもの。「007は二度死ぬ」でボンドが日本人に化けた時と匹敵する違和感。もう少し役柄とマッチする風貌の女優さんでも良かったのではないか。
あと気になったのがゴジラのしっぽの長さ。ちょっと長すぎないかね。ゴジラのしっぽにも重力はかかるでしょう。あの不自然に空中に浮かんでいる長いしっぽが、「現実」vs「虚構」の「現実」部分を目減りさせる。付け根から3分の2までぐらいを地面に引きずっててくれたらなぁ。

静かで悲しくて重い音楽が流れるなか、東京を破壊するゴジラの場面が素晴らしかった。あぁ、やめてやめて、辰野金吾の東京駅壊さないで、せっかくもとどおりにしたのにー!大好きな旧朝香宮邸は潰さないでねー、なんて思ったり。


君の名は。

新海誠作品は「秒速5センチメートル」の3話目のみ、見たことがある。もちろん山崎まさよしファンだもの。ファンクラブ会員だもの。「one more time ,one more chance」のPVだ、と言われるのもわかる。だって歌の内容そのままだもの。それだけ「one more」の曲が持つ力が強いということだろう。この曲は「月とキャベツ」「秒速5センチメートル」と、2本も映画を作ってしまった。「月とキャベツ」についても、同じく「one more」の長いPVだという批判があったことを思い出す。

新海誠という人は、わりと音楽に映像を奉仕させるの平気な人なんだなと「君の名は。」観て思った。歌というか歌詞に合わせて映像を作ったりするので、ちょっとムズムズする。そうしたところがPV的手触りをもたらすのではないか。「月とキャベツ」では、山崎氏は本編のインストゥルメンタル音楽も制作していたが、それは映像を見ながらアコギで曲を作っていくという作業だったそうだ。反対のアプローチ。
背景は素晴らしく美しい。光が溢れ出している。秒速見て感じた重力のなさ、体重を感じない人物の動きは、美しい背景に見とれる分、それによって気持ちを削がれる割合も少なかった。

ストーリーも空間と時間を組み合わせてハッとする展開を作り出しており、楽しめた。しかしねー、確率的にありそうに無い現象が同じ場所に何度も見舞われるなんてことは、無いでしょう。だから池はそもそも無くて良いと思う。

音楽はRADWIMPSというバンド。私は初めて聴いた。申し訳ないが、好きでは無いタイプの歌だった。ビートが、リズムが、ロックではなかったので。私の中の「ROCK」とは、リズムに対してかぶり気味なくらい早く強いアタックで歌われるもの。RADWIMPSのベターっと語られる歌は、そうそう、「リザとキツネと恋する死者たち」の中で歌われた、ハンガリー人が制作した、概念としての昭和歌謡曲に似ている。

海外でもカルトな人気を誇る「秒速5センチメートル」、「one more time ,one more chance」の人気も高い。特にスペイン語でのカバーがyoutubeにたくさんある。山崎氏の歌唱はスローな楽曲でもビートを感じるし、揺らぐビートが曲に洋楽的アレンジを施しやすい隙間を作ってくれる。
君の名は。」は秒速よりももっと世界で人気を博するだろう。いろんな国の人が主題歌や挿入歌をカバーしたりするのだろうか。その時は、ハンガリーの人がROCKではない昭和の歌謡曲をキッチリ作って見せたように、あの隙間のないべたーっとした歌をその通りに表現したりするのかな。いろんな国の人がカラオケで日本の歌を歌って競うテレビ番組、あれも最初はべたーっとした日本の歌をROCKに歌ってみせるのが興味深くて好きだったのに、回を重ねるごとにべたーっとした歌をべたーっとしたそのまま歌う人の方が高得点になって、つまらなくなった。早く世界で公開して注目されて、いろんな国の人に歌ってもらいたいものだ。