anemone

ぼんやりしたり、うっかりしたり。

フォロンを見にいく

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「ジャン=ミッシェル・フォロン空想旅行案内人」あべのハルカス美術館

関西万博が行われている年にフォロンの回顧展が開かれるのもナニカの巡り合わせか。フォロンが日本に紹介されたのがEXPO‘70の年だったそうな。それから程なく日本中が、美しいがどこか寂しげなフォロンに夢中になった。インテリアを飾る額もたくさん売れたし(前の会社の玄関にも飾られていた)、フォロンの描くイラストレーションをこぞって企業は広告に使用した。柔らかいグラデーションに包まれた綺麗な色の都市の真ん中で戸惑うリトルハットマン。大股で歩く彼はいつまで経っても旅の目的地へは辿り着けない。しかし彼は礼儀正しく時にはハーイと帽子を取って挨拶をしてくれるのだ。

ヘーベルハウスを想起させます

フォロンとペイネはあまりに身近になりすぎて、いつしか注意を払う対象ではなくなってしまった。それが。以前海外旅行に行った際、お土産は美術館で売られている絵葉書を買うくらいだったのだが、唯一購入した画集がフォロンの「LETTRES A GIORGIO」ジョルジョ・ソワディへ出した、絵を描いた封筒を集めた冊子。フォロンってこういう人やったんかー!と驚いた。

$15.95 也

封筒なので切手と消印、住所が必ずある。切手の柄と呼応した絵だったり、滞在している都市のイメージを盛り込んだ絵だったり、封筒の表に絵を書いてしまうという発想、そして描かれた絵のエスプリが見事。例えば日本から出されたものはこうだ。

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ははは!太陽というハンコが太陽!しかし短い日本滞在の間でこの目や口や太陽のハンコはどう調達したんだろうかな。誰かのお膳立てがあったのかな。切手も芸が細かく波間に映ったように貼ってある。

今回のフォロン展、この「LETTRES A GIORGIO」の実物の展示もあった。気になったのは二つ切手を並べ顔に見立てたもの。私が持っている画集とは消印の数と位置が違うし展示品は住所がない。これって幾つも制作されたのかもしれないな。(追記 : 展示されたものは複製だそうだ)それにしても郵便局の人も消印押すの楽しかったろうな。あるいは緊張した?

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今回懐かしのフォロンを数多く見ることができて面白かった。色がついたりつかなかったり、アルミにシルクで刷った作品があったりもしたが基本作風は変わらない。フォロン節とでも言うか、どこか物寂しいおちょぼ口の人物が描かれた絵。

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そして小さなブロンズの立体作品がかわいいのよ。これなど内部に照明を仕込んで夜に窓が明るく光るようにしたいぞ。ミース・ファン・デル・ローエに影響を受けたと年表にあった。詩情を湛えた作風からミースにインスパイアされたとは想像もつかなかったが、そうか、少しセンチメンタルな部分がネイチャー方面に行かず都市ビル群に対して発揮されたところは、やはりこの建築家の影響かもしれないな。

ビル人間

そしてなぜかフォロン展なのにミュージアムショップで買ってしもた絵ハガキがこれ。いやーなんか浮かれてんな私。

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