
どこかに旅行に行きたい!と母が言う。歩けるうちにまた旅行に行きたい、あなた連れてって!と言う。93歳である。海外はよう連れて行けません、日本なら行けるかな?たくさん歩くツアーは無理、年配向けのノンビリ旅コースのなかで選びましょう。たいがいの観光地は既に訪問済み、ならばと那覇からもう一回飛行機乗り換えての南の島へ。
もしかしたら母にとって生涯最後の旅行になるかもしれない。なるたけ母が楽しめるように荷物持ったり使い走りしたり質問に答え続けたり(この通路はどこに繋がっているの?この緑の食べ物は何?飛行機は定刻に着くかしら?そんなん私も知りません)と尽力するわけだが、母はやたらせっかちなのである。特急はるかの座席指定、新型車両の最前列とって昼を食べながら行こうという計画を、早く新大阪に着いたから(なにせせっかちだから早く着く)早い時間のはるかに変更して、関空でお昼を食べたいと言い張る。え、ちょっと待って、どうするか相談したやん、なのにチケットレスの特急券を取り直せと。ソレもうすぐ発車時間ですがな、ちょっと待ってよどうすんのよ、えーーーと。JRへの通路でスマホ出してごちょごちょやってたら「サッとインターネットで変更できるんでしょ」いえ、今やってますけどわたくしにはサッとはできません!せっかちな性格は食事にも影響を及ぼし、朝食は6時から昼食は11時半スタートなのである。混んで待つのがイヤ!だそうだ。お腹のすき加減とは関係なく食事を取らねばならぬ。そして出てきたものは皆食べねばならんのはこの世代共通のものか。で、どうなるかというと、許容量を超えたものはあなたにあげるからと寄越すのである。私も食べられませんよ,そんなにたくさん。私は歩くゴミ箱ではないので要らないものはさくっと残す。私に残すという行為をさせないで、ご自分で残してください。
行きの飛行機で私が航空性中耳炎になってしまい、左右とも耳が聞こえにくくなってしまった。元々耳が遠い母と左右ともくぐもってしまいベリベリと痛い私。甚だ頼りないコンビ、え、なんて言ったん?の応酬である。
そしてまた母は夜眠れないのが悩みである。夜早い時間に床に着き、少し寝たけれど後ずっと眠れず起きていたと訴える。イビキをかく様子を観察していると、全然眠れていない訳ではなく、短いサイクルで寝たり起きたりを繰り返しているようだ。それには同情するとして、だからといって夜中に突然「聞き流しフランス語会話講座」とか「眠れない時のイージーリスニング曲集」とかをスマホで流すのは勘弁してほしい。耳の遠い母よ、それでは私が眠れません。
ツァー会社には超高齢者の参加とあって、部屋はどれもエレベーターから一番近いところ、バスの座席も一番前とずいぶん配慮してもらった。ありがとうございます。のんびりツァーは観光は本当に目玉だけ、三泊のホテルステイを楽しむのが主といった内容で、すぐ疲れてしまいあまり歩けない母には丁度良かった。那覇市国際通りのホテル以外はオーシャンビューの豪華なリゾートホテルであり、お食事もバラエティにとんでいてどこも美味しかった。
旅行楽しかったですかね?「気温が思ったほど暑くなくて南の島って感じじゃなかった」あー、でも汗かかなかったから良かったじゃありませんか。天気に恵まれて無人島の浜に行った時も海が綺麗で寒くなくて良かったですね。「みんななぜゴム草履の中に砂が入っても平気なの?痛くて歩けないじゃないの。あれが私耐えられなかった」皆も砂は平気じゃないけど我慢してるんです、言っても仕方ないから。「じゃぁスタスタ歩きまわっていたあなたも我慢してたの?」もちろんです。砂浜ってそういうモンですから。
むむむ、母よ、旅行楽しかったですよね?これが最後の旅行になっても良かったですよね?えーっと、次またどこかに行くと言われても、私はアテンドご辞退申し上げたいですー 何卒ー!