おじいちゃんはショーが先発した試合で逆転ホームランを打って勝つのをこの目で見たんだよ、と孫に自慢する時、孫は聞くだろう、じゃぁMVPはショーがとったんだね!え、違うの?なんで?そんな事できる選手はショーィしかいなかったじゃないか。え、ホントに毎年ショーがMVPとるのは何となくイヤだってみんなが思ったってのが理由なの? Say it ain't so, Sho!
もともと映画制作サイドは主人公にもう少し年上のミュージシャンを想定していたそうだ。一世を風靡した後隠遁するのだから。対バンのミュージシャンに当たりをつけてライブ見に来たら、その前の若い山崎氏の方が目に留まり、オーディションに呼び、そこで彼が歌ったのが前からの持ち歌「One more time,One more chance」で、映画にぴったりだということで、若い彼に決定したという経緯。今でこそ口角下がる笑い方の日曜大工好きなおじさん風でありますが、28歳のおっちゃんの曲がり角を過ぎる前、25歳前後の山崎氏はそらカッコよかったのでありますよ。見た目良好ということで主役に決定、主題歌も決定。確かにラストで彼女を幻視しながらピアノで弾き語る、ワンモアのほぼリバーブ無しの圧倒的な歌声には心打たれる。というか、この歌が強すぎて脚本のアラやら踊りの下手さやら諸々のことを吹っ飛ばして満足してしまうという、そんな映画であります。山崎氏は主題歌だけでなくサウンドトラックも担当しており、完成した映像を見ながら作曲、音をつけていったとのこと。それがとっても良くて。女の子が別れを告げるシーンでは、主旋律をチェロがとりアコギとバイオリンがアンサンブルを形成、切なくも美しいメロディーが映像に被って見るものの感情を揺さぶってくる。アカデミックな音楽教育を受けた訳でない、地元では港湾労働者だった23歳が、こんなに格調高い音楽を作るんだ、とその才能に驚いたな。そういえばこの映画も秒速と同じく、長いワンモアのPVだといわれていた。